Destruction Wars
DESTRUCTION:0〜FROZEN SPRING〜 |
桜の咲く季節、それでも風はまだ冷たい。 そんな日に、僕らの旅は始まった…。 …いや。本当はもっと前から始まっていたのかも知れない。 ……そう、あの日から。 すっかり金のメッキの剥げたドアノブを、 背後に広がる室内の光景は、長期間家を空けることを示すように、家具の全てに白い埃避けの布がかけられていた。 桜の咲く季節であるのに、外の風は、まだ冷たい。 次にこの錠の音を聞くのは何時になるのだろう。 そしてそれは、決してあてのない旅ではない。 取り戻すのだ。幸せを。奪われた、幸せを。 「紀?」 紀の肩のあたりを飛んでいた水の精霊、 「どうしたの?」 「何でもないよ…少し感傷に浸ってた。ってやつ」 いいながら、青い小さな巾着に鍵を入れて、首から下げて服の中に隠す。 「さぁ。いこうか?」 ぱっ。と紀は笑った。 そうして、木漏れ日の道を歩く。 紀のプラチナシルバーの髪を太陽が照らした。 たとえこの道の先が、光のとどかないところに続いていても。この歩みを止めるわけには、いかない。 決意したのだから……。 桜の咲く季節。風はまだ冷たい。桜は、まだ咲かない。 それは、凍える春の出来事。 大きな大陸の、ほんの小さな出来事。 それでも、それは何時しか………。 |
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